peach stories

気まぐれキーのスパ小説置き場

Healing

 

夕飯を作っている時にお兄ちゃんからメールで連絡が来てびっくりした。

同い年の女の子が家に来るんだって!

とてもわくわく。ほくほく。

 

…でもなんで?学校の生徒だよね?

今までこんなことなかったのに、何かあったのかなぁ??

そんなことを考えながら料理してたらいつもより作りすぎちゃった。食べきれるかなぁ。

 

ちらちらと時計を見ながら、焦げ付かないようにシチューをかき混ぜていると扉が開く音がした。

翔が大声でただいま〜と言いながらキッチンまで入ってきたので、「手ー洗ってからね!」とご飯を庇うと、ちぇっと言って洗面所に向かった。

一応翔の方がお兄ちゃんのはずなのに子供すぎて困っちゃう。

もう、とため息をついたら洗面所からお兄ちゃんと女の子が話す声が聞こえた。

何か揉めてるみたい。お兄ちゃん〜!優しくしてあげてね〜!と心の中で祈る。

どんな子なんだろう、見た事ある子かな?お友達になれるかなぁ??

るんるんしながら夕飯の支度の続きをする。今日はシチューだ。

 

「まだぁ?まだ食っちゃダメなのか?」

 

隣で急かしてくる翔を宥めてお兄ちゃん達を待っていたら、数分後にお兄ちゃんと女の子がリビングへ入ってきた。

肩までの黒髪ぱっつん。ちょっと童顔かな?二重はぱっちりとしていて、淡い茶色の瞳は真っ直ぐに私の瞳を射抜いてきた。

可愛い…。

 

簡単な自己紹介を交えて夕食を取る。

瑠璃ちゃんはとても美味しそうに食べてくれていて、見ているこっちが幸せな気分になった。

食べ方はちょっと…あれだったけれど。

翔も保育園の時あんな感じだったから私は気にしないよ、うん!

そんなことより、瑠璃ちゃんの食べ方に対して翔が暴言を吐いたことの方が気になる。睨んでおいたけど気付いたかな??

 

食事を終えて、瑠璃ちゃんがすごく良い子ってことが分かった。食器は片づけてくれるし、洗い物も手伝ってくれるし、なんだか仲良くなれた気すらする!

終わった後は私と瑠璃ちゃんでお風呂。

お兄ちゃんから重要な任務を預かっているから、瑠璃ちゃんを1人でお風呂に入らせる訳にはいかない。

あと…友達とお風呂って憧れてたから嬉しい。

 

押し問答しながらも結局私が勝って、瑠璃ちゃんとお風呂に入った。

お兄ちゃんに頼まれた任務は

1.瑠璃ちゃんの身体に傷とか痣とかがあったらお兄ちゃんに教えること。

2.瑠璃ちゃんの身体を綺麗に洗うこと。

よろしくお願いしますねって言われたから頑張る!

 

1に関しては瑠璃ちゃんがお風呂に入った時にもう分かった。

たくさんたくさん傷付いてきたってこと。

傷だらけの背中を見て、頑張ったね!偉いね!って抱きしめたくなったけれど痛そうだから我慢した。

病院に長く入院したり、保健室のお手伝いとかしてた私でもちょっとびっくりするくらいの傷だったよってことをお兄ちゃんに伝えなくっちゃ。

 

2は洗いあいっこしたから完璧!

身体を洗ってる時に、瑠璃ちゃんのお尻が真っ赤になってるのを見てすぐお兄ちゃんにぺんぺんされたんだって気付いた。

瑠璃ちゃんはお尻が赤くなってるのに気付かなかったのか、私がちょっと固まってたら顔を赤らめてた。可愛い。

全身を綺麗に洗って2人で湯船に浸かってる時に、リビングから翔がお兄ちゃんに叱られてる声がした。

 

「俺…るく…ない!」

「やめ…!!にいちゃ…!!」

「…めんなさ…!!…ごめ…!」

 

っていう断片的な翔の声が聞こえてきた。あっこれは翔のお尻も赤くなるやつだ。

自業自得!!お兄ちゃんもっとやれ!

 

瑠璃ちゃん怖がってないかな?と思って隣を見たら、うつらうつらして湯船に沈み込みそうになっていた。危ない!

 

「瑠璃ちゃん、上がろっか!」

 

「うん…。」

 

温まって眠くなっちゃったのかな?

可愛いなぁと思いながら湯船から2人で上がって、瑠璃ちゃんの身体を拭いてあげると、小動物みたいに頭をぶんぶん振って水滴を飛ばしてた。

る、瑠璃ちゃん…?寝ぼけてない?

 

目をしきりに擦っている瑠璃ちゃんの着替えを手伝って、うるさいリビングを通らないで2階の私の部屋に上がった。

瑠璃ちゃんは私よりちょっと大きいから、私がノリで買ってしまったブカブカパジャマがぴったりだった。買って良かった…。

首座ってないのかなってくらいの瑠璃ちゃんを必死に起こしながら、髪を乾かしたり保湿してあげたりするとなんだか気分はお姉さん。楽しい。

 

「は〜い瑠璃ちゃんおいで〜」

って言ってベッドに2人で潜り込む。

瑠璃ちゃんは一瞬にして寝た…。疲れてたんだね。

おやすみ!瑠璃ちゃん!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

 

 

「翔くん、ちょっと良いですか?」

 

「はぁ?んだよ急に。」

 

「食事の時、瑠璃ちゃんに暴言吐きましたよね?」

 

「別にあんなの暴言じゃねーし。感想だし。」

 

「言っていい事と悪い事の区別がまだつかないんですか?」

 

    バシッ! バシッ!

 

(…!?いつの間に膝に??!)

 

「分からないならお兄ちゃんが教えてあげますねー?」

 

「ひっ、やめろ!俺悪くない!!」

 

   バチンッッ!!

 

「いたいぃ!!やだ!兄ちゃん!!」

 

「折角ですし、この機会にしっかりと覚えましょうか。」

 

「ひっ…!」

 

  バシッッッ!!

 

(うわぁぁん!やっぱあんな奴嫌いだぁぁ!!)