おそ松さん(カラ松/一松)
おまけだけネタバレ注意、一松のキャラ崩壊。
それでもいい方はどうぞ
あー…喉いてえ、あついし、寒気するしわけわかんない。
「一松…一松?大丈夫か?」
くらくらとする頭の中、遠くから優しい声がした。
「カラ松…?」
俺が枯れて痛い喉で頑張って名前を呼ぶと、カラ松にいさ……クソ松が心配そうな顔をして俺の額に手を当てた。
「うーーん…下がらないなぁ……」
クソ松の手、なんでこんなに気持ちいいんだろう。
そう思ってカラ松の膝の上を見たら桶に張った氷水で冷やしてあるタオルがあった。
ずっと看病していてくれたのだろうか。
チョロ松兄さんとかがしてくれそうだけど。
…そういえば隣に寝ていたはずの兄弟達の姿がない。
「みんなは?」
俺が聞くとクソ松は
「みんなは用事があるんだって出かけていったぞ。」
はいはいこんなゴミ放っておかれて正解ですよね。
「げほっ…クソ松は?」
「俺は……ふっ、愛しきマイブラザーの看病をするという任務があるからな。こんな弱った子猫ちゃん、ほうっておけないぜ。」
なんだこいつ。風邪を悪化させる気か。
「そういうのいいか……げほっげほっごほっ…」
つっこもうとしてむせた無様な俺にクソ松はオドオドして、水を差し出した。
「の、飲むか?一人で飲めるか?大丈夫か?」
「ひっ、とりで、げほげほっ、のめ、ごほ、……!」
クソ松が蓋を開けようと持っていたペットボトルを奪うように取り、少しだけ水を飲むと自然にせきは止まった。
「一松…もっと飲まないと……」
「うるさい!げほっげほっ…」
いつもの調子が出なくて、クソ松が泣きそうな顔で見てきて、俺は少しイライラしていた。
「一松、ちゃんと水を飲まないと点滴することになるんだぞ。」
小さい子に言い聞かせるようなトーンでクソ松は俺に言った。
そして、おそ松兄さんのように…俺の目を見て。
「な?点滴いやだろ?」
こくんと頷くとクソ松は微笑みながら俺の頭を撫で、こう言った。
「いい子だな一松。水、一人で飲めるか?」
「うん。」
結局、水を飲んだ俺はトイレに駆け込み吐いてしまった。
ただでさえ空っぽの胃は、水や胃液を出そうと必死になっていて、俺は正直苦しかった。
「一松…大丈夫だ。深呼吸だぞ。はい、すーはー…」
「すーはー…げほっげほっごほっ……ううっ…」
よしよし、と背中を撫でるクソ松の手は暖かくて俺の身体が冷えていることを教えてくれているようだった。
ようやく吐き気も治まった頃、全然熱が下がらない俺に、クソ松がクソみたいな提案をした。
「なあ一松、病院「やだ」
「何故だ一松!怖いのか?大丈夫だ俺が付いててやるから。」
注射も薬も何もかも苦手な俺にとっては地獄のような提案だ。別に怖くないけど……別に。
「怖くないなら行こう。このまま治らなかったら一松が辛いだけだぞ?」
大丈夫だぞと言わんばかりに両腕をかかげ、両手を広げて行こうと急かすクソ松。
「い!や!だ!」
クソ松の言う事を全力で拒否すれば、クソ松は困った顔になり
「うーん…。そんなに嫌なら無理しなくていいぞ。俺はタオルを変えてくるから絶対安静にな。布団から出ちゃダメだ。絶対だぞ!」
俺に念を押すとクソ松はすぐ戻ってくるからな、と言い残し寝室を後にした。俺一応成人してるんだぞ…と思いつつ枕に頭を沈める。
気だるさに身を任せつつ、窓側を向いて外をぼんやり眺めていた。
そしたら開いていた窓からふと、美人な猫が入ってきた。どこの猫だろうか。いつものようにおいでおいでと膝の上に招き入れようとした。
人に慣れていないのか、自分からはこっちへくる様子はない。俺はクソ松との約束をすっかり忘れて、窓の外へ身を乗り出した。
「おいで…おいで…」
俺はぐらぐらする視界に気付かず猫に目を盗まれていた。
びゅっと大きな風が吹く。寒いだろ?早くこっちへおいで…と猫を招き入れる。
第3者から見たら俺はすごく危ない状況なのかもしれない。
それでも猫に夢中になっていた俺は危険に気づかずに
、必死に手を伸ばした。
届きそう…!
そう思った時、誰かに後ろから抱き抱えられた。
「一松??」
これはどういうことかな?と、クソ松は怖い顔で俺に聞く。
「ちっ、邪魔すんなよクソ松。折角届きそうだったのに。」
怒られると分かっていても反抗的にならざるを得ない。クソ松がクソなせいだ。
「へー…俺、布団から絶対出るなって言わなかったか?あと安静にしてろとも。」
「あっ…忘れてた」
すっかり忘れていた俺はあっと声を出してしまっていた。自分の失言に気付くまであと3秒。
「ちが、そんなこと聞いてない」
クソ松の怒りオーラが濃くなっていく。
じりじりと後ろに下がると、クソ松に閉じられた窓に背中がつく。
クソ松はじりじり俺に近づいてきて、抵抗するすべもなく膝の上に乗せられた。
「なっ…離せよ!やだ……」
バシッ バシィッ
「一松、約束やぶってごめんなさいは?」
脳筋のクソ松にしては手加減してる方なんだろうが痛いものは痛い、風邪で弱ってる俺はすぐ涙目になった。
バシィッ バシッ
「だれがっ、言うかぁ!」
クソ松は大抵「ごめんなさい」を言うか泣くまで叩いて反省したら終わる。俺はごめんなさいを言わないので毎回泣かされるはめになる。
「そっか、一松はいつもごめんなさいを言えないもんな。今日は一段と悪い子だからズボンとパンツはいらないよな。」
黒い笑みを浮かべてクソ松は俺のケツを丸出しにした。
バシィィッ ビシッ
「なにすっ…やめ……ぁあっ、くっ…」
ズボンとパンツを履いていた時とは違う痛みに俺は耐えきれず泣いてしまった。
それでもクソ松はやめてくれない。
バシィッ ビシィィッ
「ふぇ…いたっ……ぐすっ…あっ、んぁあっ」
泣いてる俺を見て頭が冷えたのかクソ松は優しい声でさとしはじめる。
「一松、ごめんなさいは?」
バシィィッ ビシィィッ
「やっ……いわな…ぁああっ!……いっ…うっ…」
「仕方ないな…」
仕方なくないんだよ痛いんだよ!泣きながらそんなことを思った。
「いいか一松聞いてくれ。俺のいう事を全て守れってわけじゃないんだ。」
バシィッ ビシィィッ
「くっ……やっ……ふぇっ…」
「せめて風邪の時くらい、俺にお兄ちゃんさせてくれ」
バシィィッ バシィッ
「ちが…ぁあっ……うっ…ひぐっ…」
「何が違うんだ?」
バシィッ
「いだっ…ぐすっ……クソま…カラ松兄ちゃんは……いづも…ひっく…俺のお兄ちゃんで…ふぇっ……風邪の時だからだけじゃ……ひぐっ……ないぃ…」
バシィィィッ ビシィィッ
「やぁああっ!?……にゃ…なんでぇええ……!あうっ…カラ松兄ちゃ……」
「ごめ…嬉しすぎて……ごめん…真面目にお仕置きするから……」
バシィッ バシィィッ
「ぁうっ…ふぁ……いだぁ…」
「つまり俺が言いたかったのはな…風邪の時は安静にしてること!兄ちゃんのいうことを聞くこと!危険なことをしないこと!病院に行くこと!嘘をつかないこと!この5つだ。約束…できるか?」
バシィィィッ ビシィィッ
「いだぃぃぁあっ……わがっだぁ…から……」
「よし、いい子だな。後はごめんなさいだけだ。」
バシィッ ビシィィッ
「うわぁぁぁ……ごめっ…なさっ……」
「聞こえない」
バシィィィッ
「いたいいいっ…ごめんなさいっ!ごめんなさっ……ふぇっ…」
「はいよくできました。おいで一松。」
クソ松の無駄に筋肉がある腕に抱きしめられると安心するんだよな……
「うぇぇ……ぐすっ…病院やだぁぁああ……」
「ほら、泣くな一松。泣き腫らした目をしてたらお医者さんに笑われるぞ?」
「注射やだぁぁぁあああ……うぅ…」
「大丈夫だって。俺が付いててやるから、な?」
その後クソ松におぶられて連れてかれた病院では、鼻に綿棒を突っ込まれるわ血を取られるわ注射はされるわ大変だったが、クソ松がそばにいてくれたから我慢できた。
「病院の看護士さんに双子さんかな?可愛いって笑われてたぞ。」
「うるさい、言うな」
おまけ
帰りもこんな感じでクソ松におぶさりながら家に帰ると…
ガラッ
「「ただいま」」
「「「「おかえりー」」」」
「みんな、帰っていたのか。」
「クソ松兄さんだけじゃ心配だからねー」
「俺はパチンコボロ負けしたからやる気なくしただけで…」
「おそ松兄さん1人だけずるーい!ボロ勝ちしてたくせにー!」
「一松、林檎すったけど食べる?」
「一松兄さん大丈夫???またぶんれつしようか?」
いつもの調子の兄弟達を見て、2人は顔を見合わせて笑った。